mellowbrain’s blog

カウンセリングに通っています。ここには頭の中の整理を落としています。

EGO-WRAPPIN’





かつて。

拝啓、中納良恵
よっちゃんがまだ同じこの世にいるから、という理由だけで生きていたりもしました。母性がそのまま命を得たような、そんな喉を持って生まれたよっちゃんに何度も救われてきたわたしです。
烏のような黒いドレスを身に纏うあなた。ある時は昭和のショーガールのようなけばけばしいお化粧をしてにっこりほほ笑んだり、またある時は場末のバーで働くママのようにくたびれた風に煙草を咥えてみせるあなた。そうしてわたしの耳に、まるで水面に浮かぶ睡蓮のように優しい低音や、まだ日の差し込む前の、いずれ消えてしまう薄青い部屋の光ように柔らかいささやきや、熱帯の動物のように強かで野太い声を聞かせ、わたしの意識を遠のかせる。よっちゃんのいる現実と、わたしのいる現実が同じものであればいい。音は目に見えなくて、だから同じものが聞こえているのか確信が持てないの。もしかしたら人はそれぞれ全然違うものを聴いて、見て、心を揺り動かしているのかもしれないけれど。