言うことがない。かけない。激動のさんがつ、なにもいえない、ありすぎて




2年付き合った彼と別れた。
わたしという人間のいちばんの理解者の彼と別れた。
彼との毎日がずっと続くものだって当然のように思って、いっしょにいるのが自然すぎるからいつかその姓を名乗ってる日があまりに普通に思い浮かべられてたその人と、もういっしょにいなくなった。
何百回も歩いたあの中野の道も、暗い部屋の窓から見る明け方の東京の空も、本も匂いも玄関も、失われた。
もうどんなに思い出しても本物を見ることはない。
あのタバコ屋さんの角も曲がらない。
ほんとうに、こんなことが起きなければいっしょうずっといっしょにいると信じてた。
そばにいるのが当たり前すぎた。
そばを離れる理由がなさすぎた。
嫌いになったわけじゃないのに別れるなんて、つらすぎて、だけど始まってしまったことだから、どんなに辛くたってしょうがない
ずっとは続けていられない
その日、明け方始発が出るまで、泣きすぎてぐっちゃぐちゃになりながら、あんまりしめっぽくても仕方ないじゃんって付けてくれたDVDを見ながら、やっとちょっと落ち着けて、だけど結局見終わりもせずに止めて話をした
あの時間はなんだったんだろ、あんなにやさしくて、でももうなにもないのよ
これからは二人はなれるのに、お互いのこと考えて、感謝がいっぱいで、伝えたいことがありすぎて、でも涙ばっかりあふれてしゃべれなくなって、
かなしみとやさしさだけがある時間
あんなせつない時間ない



この2年間は生きてきた中ではじめて心のささえができてた2年間だった
それまでどうやって生きてたのか思い出せない、よく生きてられたと思う
大1終わってもう東京いいや人生いらない全部やめるどうなったっていいんじゃない死んでも関係ないさようならってなって自暴自棄に遊んでたときに助けてくれた
それからわたしの帰る家だった
失ったんだなあ


別れてから手紙をもらった
すぐ会えるのによく送ってたけど、送られてくるのは初めてだった
丸くて雑な字
あっちゃんが帰ったあと、寝て起きて、それで初めて恋愛で涙を流した、って書いてあった
彼の涙なんて一度も見たことないのに
30になる大人が一人で泣くなんて
わたしは一体なにをしてしまったんだろう
後悔するのかな
いや、ずっとずっとたくさん考えて、それで選んだ道だから絶対後悔しない


大好きだからこれ以上苦しめたくない、とか
なんでそんなこと言うんだろう
なんでそれを捨てちゃうんだろうわたしは
最後までやさしくしなくたっていいのに
対応が大人すぎて泣ける


たった2年間だなんて信じられない
あの人と一生を生きた気がする
そのくらい大事な人
大事にしてくれた人
一番わたしを理解してた人
もう一生あの理解度の人は現れない


作家になる彼は本名で本を出さないから、もう探しても分からなくなる
彼の本が本屋に並んでいても、わたしは手にとってもきっと彼と気付けない


どうか、どうか元気で生きていってね
ご飯作ってあげられなくなるけどちゃんと食べて
もうちょっと体の心配して
おやすみ
さようなら
いってらっしゃい
だいすき


ありがとう