世の中のイメージ図

駅の側の、バスとかタクシーとか停まってる少し広い道路の上に、おっきな心臓が落ちている。バス一台分くらいの大きさで、その心臓の前に立つと向こう側は見えない。赤みがさしていててかてかの表面に、細い血管がおびただしく通っているのが見える。奥の方の肉はきっととくんとくんと微動している。
その周りを、通行人たちが何食わぬ顔で歩いている。目の前にどでかい心臓が落ちてるのに、誰も気にしようとせずに皆一様に涼やかな顔で通り過ぎる。
心臓に刃物を突き立てようと思えばいつでも誰でもチャンスはあるのに、誰もそれをしようとしない。こんなに無防備に生身の心臓が落ちてるのに。静寂で冷たい、知らない人同士が通りすがるだけのいつもの昼下がりがそこにある。巨大な心臓を除いて。




というビジョンが電車降りたとき突然脳裏に浮かんだ。それがあまりにも今の自分の世の中のイメージと一致すぎて、何か重大な発見をしたような気持ちになった。