交響曲

なんて美しい王国だろうと思い、オーロラ色に光る町を風が吹いていくのをうっとりと眺望して、温かい日差しを肌に感じ、一体ここは何と言うユートピアなんだろうと思ったら、よく見ればそれは現実の世界で、あたしは真っ暗な空間にたくさんの人と紛れて座っていて、ずっと前の方だけ煌々と明るく光っていて、光の下で指揮者が鳥になって飛んでいるかように腕をゆっくりと動かして、その周りにそれぞれ手に楽器を抱えた人々が、虹のような半円を描いて集まって、稲穂がさざめくみたいに、みんなで同じ方向へボーイングし、同じ瞬間に息を吸い、聴覚の王国を造っている。あたしは今日だけのために王国が生まれて死ぬのを目にした。