一緒にT-N-Tを叫んだのは君

電車を降りたときから妙な予感がしていた。
人通りが多すぎる。
これはついに来るかもしれない、そうか今日は土曜だからこんなに人が多いんだ、と思いながら、早く用を済ませようと大通りを足早に進んでいるときだった。
信号を渡ったところで、目的地が逆方向だったことに気がついて振り返った瞬間、目の前を人が走り去っていく。
目が合って、すれ違う瞬間明らかにこっちに首をかしげて、そのまま走り去る。
そこだけ切り取ったみたいに長い一瞬。
こんな大通りを全力疾走する人間なんて、あたしが知ってる中で一人しかいない。
動悸が激しくなった。
振り返らずに、青の点滅する信号を渡り切った。
ヘッドホンして落ち着かせる。
別に今更会ったって、何もやましいことなんかないのに、何でこんな心臓がばくばくするんだろう。
もしまた会ったとき普通にしてられるように、何度も練習したのに。ばかみたい。ちっせえよ。意地なんか張ったって何にもならないって分かってるのに。ほんとは「久しぶり」って言いたかったのに。ばかばか。