読んだ
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/09/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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13才の主人公が中ニの一年間で人をふたり殺すという、大筋は最初に文字打ってあるんだけど、「こわくて、どうしたらいいかわからなくて、いまにもからだが勝手に生命活動を停止してしまいそう」な状態の描写が痛々しくて孤独で美しい。家族と学校が世界の全てで、自分ひとりで行けるところなんて限られていて、そんな愚かなものの中に信じられるものを探すしか術がないほど、狭い世界で生きている年齢。
倒れた女子をものともせずに訓示を続ける禿頭の校長にあたしは一瞬、殺意を感じた。
たったいままでの無邪気な笑顔が消えて、瞬間的に、内緒のバトルモードになる。じろりと校長をにらみ上げる。
一度超えたら、かんたんにその場所に行けるようになる。きっと、いいものも悪いものも一緒なんだ。一度やれたら、二度目はかんたんになる。あたしは殺意をたぎらせて壇上の初老の校長をにらみ続けていた。
一度超えたら二度目はかんたんになる。懐かしい感覚。