贅沢な骨 [DVD]

贅沢な骨 [DVD]

さきこは吸い殻の溢れかけた灰皿見下ろして「(あたしの足のギブスが取れるまで)禁煙するっていったのに」って言う癖に、病院にさきこを迎えに来忘れるほど一晩中やりたい放題やって絡んだまま寝てるみやこと新谷を眺めて、二人が使ったワイングラスを電気も付けないでわざわざ洗ってやって、みやこが起きたら笑って「おはよー」ってそれだけしか言わないさきこ。破滅の寸前のギリギリのところで生きてて、でもそれはみんなそうで、それだけに笑顔の「おはよー」が切実で、さきこにもみやこにもあの部屋がすべてなんだと思った。本当は悲劇じゃないのに、自分を汚いと言って悲劇のヒロインを演じようとしている。演じていれば、生温い現実を受け入れた気になれるから。贅沢なことだ。みやこはさきこを好きなのに。

行定勲監督作品がとてもすきなことに気が付いた。もうないもの。二度と戻らない色。光の色。
ここにあり、それが持続していると言うことは本当は奇跡的な偶然で、気付いたときにはなくしてしまう。いつも。今見えるもの感じるもの想像し得るものは全て奇跡的な幸運によってここにあって、光を受けて私の目に色を射しているんだ。だから本当に大事にしないと、いつなくなってしまうか分からない。明日にはもうないかもしれない。生きて死んで、何も遺らない。遺せない。それでも呑気に笑ったり眠ったり些細なことで憤慨したり、小さな営みを止めない。人間が愛しい。人間が愛しいと感じられる、誰もが持っている意識が尊い。愛しさで胸が詰まる。